人口減少、少子高齢化が進行する近年、地方都市、あるいは大都市近郊におけるコンパクトシティの形成促進は官民問わず喫緊の課題である。
関西の大都市近郊の住宅地は、私鉄の路線拡大と共に形成されてきた歴史がある。したがって、鉄道駅周辺への拠点機能の戦略的配置と鉄道沿線の高付加価値化が郊外住宅地の再編に資するのではないかという仮説のもとに、都市住宅学会関西支部の学識経験者との共同により、2014年度より調査研究を継続して来た。
これまでに近鉄奈良線、能勢電鉄、南海高野線沿線の駅を取り上げての調査を実施。また京阪ホールディングス、阪急電鉄など鉄道事業者の参画を得て、京阪本線、阪急京都線沿線の中核都市の沿線住民の生活行動や、駅周辺に必要な施設の分析を行い、その結果、駅周辺における施設配置の課題や拠点以外の駅の特徴づけの重要性を指摘した。さらにこれらをふまえて、駅周辺および高架下空間の拠点化についての基本的考え方、さらに鉄道沿線ブランドの再構築についての展望を報告している。
同時に、立地適正化計画、鉄道沿線まちづくり等の行政によるコンパクトシティ形成施策や、鉄道事業者等民間の取組事例についての調査、資料収集を行った。
鉄道沿線及び駅周辺に着目したまちづくりの調査研究は、今後とも継続していきたい。
駅から始まるコンパクトシティ形成促進方策に関する研究(4)【報告書抜粋】